ゲムマの翌日にデザフェスに出展してみた話

2026年5月23・24日はゲームマーケットとデザインフェスタの日程が丸被りし、同日開催となりました。私が元々興味があったデザフェスにたまたま当選したので、23(土)にゲムマ、24(日)にデザフェスに出展する変則パターンを実行したので、ゲムマ寄りの人間から見たその比較レポートになります。
最初に申し上げておくと、大爆死したァッとかの悲報系の記事ではありません。デザフェスに出展を考えている人向けの参考になればという思いで書いているもので、あらゆる所感を時系列に沿って記述します。但し、当方は基本パーティーゲームしか作らないという前提かつ、当日の状況にも左右されると思いますので、あくまで一つの小噺として聞いていただきたい事をお断りしておきます。あと全体の内、二割はびわ湖くんの話です。
運よく当選したのが始まり
今回のデザフェスはvol.63、前回応募した時は落選した。どうやら超人気サークルですら普通に落選するようなので、特別な忖度は働いてなさそう。大体申し込み時の入力項目からして、サークルの戦闘力を測る術がない。
当方は今回デザフェス初出展、明るいエリアSブース(1.8×0.9mの最小ブースのこと)の人形・おもちゃというカテゴリで日曜のみ応募。結果あてがわれた場所はN-164。

一見すると入口から直進すれば付くレーンにあるので好立地のように思えるものの、入口横の強制通過位置ではない為、特段場所としての優良性はなかった。詳しくは後述。
デザフェス、テーブル付いてないってよ
ゲムマだったら当たり前のように付いてくる机と椅子だが、なんと(デザフェス側からしたらこっちがなんと側かもだが)デザフェスはどっちも付いてない。有料OP。なので出展料は安いが、机×1+イス×2をすると、結局ゲムマ出展額と1,400円に差が縮まる。私は今回ゲムマの方は1卓で出展している。
| ゲムマ | デザフェス | |
| ブース料 | 24,200円 | 17,000円 |
| イス | 0円 | 2個 1,800円 |
| テーブル | 0円 | 1台 4,000円 |
| 合計 | 24,200円 | 22,800円 |
そして一番気を付けたいのが、これら備品には売り切れという概念が存在する。早めに抑えておかないと欲しいタイプの机がない(机も椅子も複数種類存在している)という事態に陥るので、後で頼めばいいやという思想はなくし、申し込み可能となったら即時注文した方がよい。
逆に言うとスペースだけ借り、自分の好きなブースを0から構築できるのがデザフェス特有の強みだが、正直ボードゲーム勢とはそこまでマッチする初期状態とは言い難いのかもしれない。
幅180cmの机を使うと閉じ込められるよ
ゲムマにはブース後ろ・または左右に出展者用の通路スペースがあるが、デザフェスにそんなものはない。端のブースでないなら、左右後ろがすぐ別ブースとなる。そして他出展者のスペースへは不可侵である為、通行は許されない。
その為、分かりやすくスペースすべてにちゃんとバミりがある。(というか総出展数で上回っているデザフェスが地面バミりしてるんだから、ゲムマもやってくれたってバチ当たらないし、机上の高さ制限確認して回るよりそっちにリソース割いた方が全体の快適性上がらないだろうか? いや上がる)

これはオプションのパネルイメージ
また、オプションでこのパネルが隣接三方ブースに設置されていると精神的な禁踏区域ではなく、物理的な通行が不可となる。ゲムマの感じで1コマ出展の場合、180cmの机を使うと机の下をくぐるか、飛び越えるかしかない。よって実質180cmより狭い机を頼む必要が出てくる。
私も結局160×60cmの机を発注し、その脇に立つスタイルにした。椅子は邪魔で使わないので発注しなかった。
会場にちゃ~く(びわ湖風)
デザフェスはとにかく情報がない。ゲムマみたいにカタログが送付されるワケでもなければ、全出展者の情報が取得できる制度になっていない。一部の登録者の情報がサイト検索できるのみ。
だから事前に知れたことと言えば、出展者に「ボドゲ出品者が検索上0」なことと「近所にびわ湖がいる」の二点のみだった。(当日「ボドゲ売ってたよ」とお客様との会話で知れたが、何があったかなどは未詳)深くそこは考えず、分かりにくい指示看板に頼らず自ブースへと向かう。
この配置、合ってる?
私が配置されたゾーンNは【人形・おもちゃ】のゾーン。行けばそれなりのホビー的なものを扱っているブースが身近にあるだろうと思いきや、行った先の隣接ブースはこんなイメージであった。

完全に包囲されている。
周囲8マスは下画像のような感じの可愛らしい生き物とかグッズを売っているところばかり。

©㈱集英社/上木敬(画像は周囲の販売物を総括した勝手なイメージです)
そんなところに何か知らんけど「マウント取り合うゲームw」とか売っている自ブースがいるのだから浮いている、確実に。
懲役8時間コースかと覚悟したが、まぁそうはならなかったので一安心(ドロヘドロ的なブースの横がおぱんちゅうさぎ的なブース…みたいなことはままあることらしいので、そうなっても全く気にする必要はない)

気を取り直して設営を遂行。今回持ち込んだのは4商品で、特定商品に比重を置かず、均一な商品スペース設計とした。今回は来場者の反応を見る上でも敢えてこのようなスタイルを取った。
スターターが最優先ブースに行くのはゲムマと同じ
いよいよ10時からデザフェス開始、ゲムマより1時間早い。開幕優先処理を来場者が行うのはデザフェスも同様で、こちらも近所に凄まじい吸引力を持つブースが一つ、それが前述のびわ湖くんであった。

びわ湖くんのご尊顔…いや尊湖…?
今回彼らは当方の丁度真後ろの真後ろの真後ろの真後ろの真後ろのブースに出展しており、このゾーンに来る客は最初ほぼびわ湖狙い。すぐに長蛇の列が形成されていた。なんだったら私もディーラーダッシュして整理券もらって喋ってみたかった、しなかったけど。
このような環境TOPがいるのでゲムマ同様、デザフェスでも出展歴の浅いブースは、開始早々そんなに客が来なくても気にしなくていいように思えた。
客層、やはり女性多し
やれることもないので、びわ湖の列をウォッチしながら客層を観察していた。ゲムマはメンズが多いのはご存じの通りだが、デザフェスはやはり全体的に女性の方が多い。女性用アクセサリー等が販売品の多くを占めるのだから必然ではある。ただ本当に来ている来場者の層が広く、まさに老若男女という感じで、顕著なのはゲムマよりキッズが大分少ない、といった差が比較の総括になるだろうか。
とりあえず売れ始めて良かった~
11時になり、そんなこんなだから往来は一瞥はしてくれるものの、寄ってくれる人もあんまりな感じのモーニング。もうマヂ無理。あたしのことわもうどぉでもいいんだって。どぉせあたしゃ湧きあがり、否定し、痺れ、瞬き、眠りを妨げる、爬行する鉄の王女とか考えていた矢先、最初のお客様が商品を手に「これお願いします」と…! その後も11時台はお客様に続々と購入いただき、微妙な不安感という名の棺から解放されたのだった。
お客様との会話で分かった壮大な勘違い
以降も定期的に買っていただける機会に恵まれた。ただ、ゲムマでは説明を聞いたら理解して買ってくれるお客様の割合は多かったが、こちらでは説明をしても全体の2割程度しか購買に結びついてない感覚だった。説明に難があるとか以前の問題として、会話の中で以下の根本的な原因が主だったことが分かる。
そもそもボドゲをする機会がない
この機会というのは、そもそもボードゲームなどで遊ぶことがないという意味が一つ。
加えて友人と日程的距離的な意味でベスト人数まで集まること、ないしは何かしらの集会というもの自体がないという意味がもう一つ。どうしてもゲムマ勢は多かれ少なかれボドゲ会が身近にある為、集会が「ない」という概念が「ない」。
連れ添っていらっしゃる方が二人でも、それは返すと「2人用ゲームしか遊べない」ということ。また今会場にたまたま一緒にいるだけで、日常的に会うのは難しい状況、ということがどうも多いようだった。
私が持ち込んだゲームは基本全て推奨人数は3~4人以上なので、その条件には適合しない。1~2人用ゲームの方が遥かにこの会場に向いているのではないだろうか。
やはりゲームを買うという思想がない人も多数
さらにこれも理由として大きく、興味を持っても普段ボドゲをしない人は習慣的に購入にブレーキがかかる。私自身が習慣的に絶対買わないものを設定しているし、その心理はとても理解できる。私はスーパーでどんな試食と殺し文句を出されても魚なんて人生で一度も買ったことがない。
だから興味を持っていただいただけでもありがたいし、いつか起こるかもしれないマインドチェンジや、周辺環境の変化で遊ぶようになる段階へ向けての認知の獲得…というスタンスで臨んだ方が、双方楽しくコミュニケーションが図れると思う。
他の出展者は「説明」なんてしない
グッズやステッカーや人形、果てはバッグやアクセなどはもう見た目がすべてであり、ゲームのように説明は不要、だから説明らしい説明をあくせくしているのは私くらいで、他の方々がされているのは多くが「会話」だった。
ゲムマでは出展者の仕事として説明がそこそこ比重を占めるかと思うが、その点でも大きな違いを感じた。もちろん実物の商品と説明は設置していたが、それだけで短時間の内に商品の全てを把握することはできない。他と違って説明が「必要」な商品を売っている時点で、デザフェスではディスアドになると考えて間違いない。
これらは冷静に考えなくても分かることだが、こういうことを直接お話して聞くことで改めて実感させてくれるとても良い機会であった。
でもね、基本は褒めていただくことが多いの
デザフェス?だからか不明だが、通り際に商品に感心してくださる方も多かった。私に直接言ってくれる方もいれば、道すがら同行者との会話で間接的に褒めてくださるケースはとても多い。所謂辻褒めである。
これらから客観的に見ても、デザフェス的な意味での最低ラインに立てているとは感じたが、やはり実際の購買となると話が違ってくるのは、よくよく注意しておかなければならない。
そもそも気付いてくれるのは目につくから
そんな感じでホメタリーディスラレタリー、ちょっと足を止めてくれたりーするのは、なにも楳図かずおの家の如くファンシー包囲網内で奇抜だったからではなく、目線の高さに掲示を調整したのも大きい。ここではゲムマのような机上70cm制限がない。よってスタンドの伸長限界まで掲示を高くした。ブースによってはまさに街頭のような高さまで掲示物を設置している所もあり、単純に目立つだけなら高さを存分に利用した方が良い。
※すべて床から4m迄がリミット
なぜか鬼ハケするサークルカード
購入しないことへの代替行動としてのサークルカードもらいなのか、本当に興味があるのか…それは不明だが、お客様情報ではサークルカードを収集する文化はデザフェスの方がかなり強いらしい。なんだったらサークルカードだけを集めてクローリングしている方の存在も観測した。ゲムマにもおるけど。
自ブースも15時台には用意したカードは全てハケてしまった。その後の展開に繋がるかは不明だが、出展の際はゲムマより多めのサークルカードの用意を推奨したい。
振り向けばびわ湖
とにかく私の真後ろにずっと見える。びわ湖の背中が。

普通何個も後ろのブースなんてかけらも見えないハズなのに、私がコルンかキャンティだったとしても絶対銃弾を外さない程度には斜線上がクリアでよく見える、確実にド頭をぶち抜けてた(どこが頭かは不明)。
なのでちょっと人がいない時には振り返ってびわ湖の実存確認をしていた。変わらない風景がある種、謎の気分転換材料となっていた。
それにしてもこの湖、ずっと立ってる。恐らく目測では開始から終了の開催時間中、近隣でほぼずっと立って通したのは私とびわ湖くらいのものなのではないか…? 流石アンパン自転車で列島を駆け巡るだけのことはある、体力概念キャンセル界隈はどこの世界でも強い。これで翌日、広島で会議だというのだから恐れ入る。
売り子さんが素晴らすぃ
雑に形容すると素敵な方が多い。見た目もそうなのだが、にこやかな表情を丸一日中常にキープされていたり、過剰に出張った接客もせず、なんというかプロ味を感じる方が多い。
一朝一夕で身に付くような芸当ではない気がしたので、皆普段から店頭に立っていたりするのではないだろうか。そんな人々に混じって下手に座ってスマホいじりでもしようものなら、相対的に印象が下がることも予想される。もちろん(?)デザフェスなので村上隆イズムを感じる出展者も多いのだが。
本当に14万人(両日)来ている?
来ていない。少なくとも私の前は絶対に1万人すら流れてない。今回のゲムマ土曜の来場者は18,000、デザフェス日曜は70,000(推定)、単純な集計値ではゲムマの約4倍来場者がいるハズのデザフェスだが、実際の体感値として目の前を通る客数は正直ゲムマとほとんど変わらなかった。
言わずもがな会場が遠大過ぎる所為で、客はすべてのレーンを通過していない。Xを見てもどうもその風潮はゲムマ以上に強い。自分も以前デザフェスの全レーンを走破したが、2時間を要するくらいには広く、お目当てのゾーンを絞って来場したり、メインミッションを終えたら離脱している人が多いことが想像に難くない。
デザフェスは歩く速度を制限されるほどに渋滞が起こるエリアも存在するが、少なくとも当レーンでその現象は一切なかった。
デザフェスに人数的アドバンテージを求められて出展する方は、出展エリアをよく検討するか、期待しない方が良いことと思われる。
時間別販売数は?
基本的にそこまでバラつきなく、どの時間でも販売があったが、10時台と17時台、つまり最初と最後の1時間については販売ゼロだった。出展者だけどデザフェス見て回りたい、という場合は17時にはブースを畳んで遊びに行っても特段影響はないように思えた。ただ、同様に多くの出展者もブース撤収を開始しているので、そこだけは留意するとよいだろう。
最終リザルト
18時になり、会期終了、ゲムマ同様拍手で締めくくられる。再度振り返ったが、流石にびわ湖はもういなかった、お疲れびわ湖くん…またどこかで会おうぜ…(元々会ってない)
結果、総売り上げは大体、前日のゲムマの3分の1だった。が出展費用は全然回収できている。というイメージで伝わるだろうか。特に今回は前述のマウントルが一番売れており、理由はやはり9枚のカードで川柳を作るというシンプルさと、何より単純に笑えるゲームであるという二点がウケていたのが大きな要因だった。
仮に私が「このゲームはトリテでマストフォローだからルシがパージでコクーン」的な意味不明な呪文を唱える必要があるゲームを売っていたら、確実に売上はさっぱりだった気はするが、パーティーゲームであることが検討ラインに乗った一つの条件だったと思う。
もっとデザイン寄りの、つまりデザフェスサイトにも鎮座しているフォントかるた的なものを売るのであれば、より売上は見込めると思われる。何より「フォントかるた」なんてタイトルだけで何をやるか100%推測できてしまう代物だから、なおのこと分かりやすく、非ボドゲ勢にもウケが良いことであろう。
売れる以前に、売ってはいけない商品がある
このように、やはり広告や知名度なしで真剣勝負ができる商品は限られる。儲けたいだけで「玩具」という括りでいいなら例えば幼児向けに柄が短くなってないティアアルカナロッドでも作って売ったら? と考えたくもなるが少し待ってほしい。
デザフェスはコミケのようにグレーゾーン品を売ることは認可されていない=既存の著作物を用いた二次創作はダメ、オリジナル品でないといけない。よってサークルによっては禁止事項に抵触し、販売できないボドゲもあるだろう。出展の際はそこにご留意いただきたい。えっ、ならPDになってる蒸気船のげっ歯類のアレとかはって…? いやそこでD社に突撃するのはちょっと…
もし出展される場合の推奨
ここまでを見て、手放しに「出てみよう」と感じる団体は多くはないと思われるが、全ては各々の条件と時代に依存することはいつでも変わらないと思う。それでも遊びにいってみようという方は、共通して誰にでも言えそうなことだけを以下にまとめたので、参考にして欲しい。
・事前に客としてデザフェスの全エリアを見てみる
・出展ジャンルはよく考える
・サークルカードを大量に用意
・高さを出す
・二次創作系の販売はNG
・見込みがありそうなゲームを予想し絞る
・ぐいぐい行かない、行っても結果は変わらない
仮定結論
巨大なミープルの人を駄目にするクッションとか作って高額で売った方が、デザフェスではまだROI高いかも。


